touju plan(有)藤寿建築設計事務所
■長崎ビンテージビルディング視察及び斜面地まち歩き 2023.01.28~01.29
ときどき雪が舞う、3年ぶりにランタンフェスが実現した長崎を視察してまいりました。両日ともに、県庁住宅課の職員の方々のアシストをいただき、2日目には、ブラタモリのような歴史・地形・文化等を基本に、飽の浦方面(稲佐山側の斜面地)まち歩きを長崎の建築家N氏にサポートしていただき、濃密な視察になりました。
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1日目
まずは、午前中はランタンフェスが開催されている中華街・商店街を散策し、その後日本に〈3棟しか〉残っていない現存最古のRC公共住宅48型「旧魚の町団地」の視察とご説明をいただきました。
戦後最古の魚の町団地魚の町団地は長崎に原爆が落とされ、焼け野原になった後住宅を供給するために建てられたものですが、その時代にこんな工夫がされていたのかと感動し、この建物が長崎の市民の方に愛される団地に再生されるのが楽しみです。現在は県が管理するこのビンテージビルヂングで市民参加型のチャレンジウィークが開催されます!
午後より県庁を会場にした、セミナーに参加。登壇者は2名。魚の町団地を研究する長崎大学大学院生さんと、全国から講演依頼の絶えないホットな団地愛好家有原さん。大学院生さんは、研究だけでなく、団地を軸にしたコミュニティづくりに挑戦されていた。地域の人たちとともに楽しいイベントをされている。有原さんは、日本中の団地を視察し、びっくりするほど情報取集され、歴史や文化も含めて、日本の団地の魅力を再発見させていただいた。しかも単にハードな側面だけでなくソフトの側面の大切さをしっかり伝えられていて、これからの空家課題解決に団地の再生が、SDGs的にも大変重要だということを認識できた。
夜は、恒例の親睦会^^おいしい魚料理と参加者との和気あいあいとした交流は大変楽しく有意義なものでした。
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2日目
午前中に斜面地の街歩きをしましたが、クラバー邸のある南側に比し、空家や特定空家も数多く散見していました。
その中でも長い歴史の中で行われてきた長崎の斜面地を課題解決先進事例となるアイディアが、斜面地での日常生活での工夫として随所にありました。
坂の町・長崎市で課題となっているのが斜面地からの人口流出です。これに伴って増えているのが空き家。放っておくと倒壊などの危険性があり、ゴミの不法投棄の場所になってしまうおそれもあるため、10年住めば家をもらえる??という施策が、実施される気配がした。
道路等のインフラが加速すると、長崎の風光明媚な景色を堪能できる素敵で豊かなライフスタイルが実現できるだろうなあと。
財政上の課題もあるでしょうから、時間がかかるとは思いますが。見方を変えると、長崎の景観はとても素晴らしく、リゾート&住まいとしてもポテンシャルの高い環境のように思えます。
お昼はまた県庁に戻り、吉宗のおいしい茶碗蒸しをただき、団地や斜面地の再生活用について意見交換しました。
中村先生から『小さなレベルで考えるのではなく、住宅の生活の場をどう建築化してゆくか。』
有原さんから「団地は、ソフトの側面のアイデアや工夫で住民の幸せをメイキングする」
その意見交換は、私が目指す考え方と一なもので、共感満載でした。このような仲間がいることが心強く、御繋がりを頂けたことで、確信へと変わりました。感謝しかございません。
★★★★★★★
【私見】
ハード面とソフト面の両輪で、住み続けたいまち、住みたいまちを創造することで、住民の幸せを実現する。それこそがシビックファーストであり、それを継続もっと言えば文化にするためには、その仕組みをプロジュースする人材、併走する人材がいることが重要だと思います。そのためには、産官学民の開かれた関係性が基盤にあることが要。
そんな未来計画がこれからの日本の進むべき姿であり、現在の様々な社会課題の解決につながると信じています。
午後は、会場を解体予定の川口アパートへ移して昭和時代のさまざまな工夫の跡を共有させていただきました。
★★★★★★★
今後のまちづくり活動の大きな後押しと確信をいただきました。長崎県住宅課の皆様には、お忙しい中、準備と添乗とたくさんお世話なりありがとうございました。また、吉原勝己先生のご尽力には、感謝の言葉もありません。本当に素晴らしいまち視察とまち歩きを経験させていただきました。関係者・参加者各位に御礼申し上げます。